前作「MOTHER2」から12年越しで発売された「MOTHER3」。
プラットフォームは、ハードとしては末期だったGBAが選ばれた。
開発は「マジカルバケーション」シリーズ、
携帯機の「聖剣伝説」シリーズを手掛けるブラウニーブラウン。
本作のような2D表現は、得意分野と言ったところだろうか。
キャッチコピーは、『奇妙で、おもしろい。そして、せつない。』。
------ 【やはり「MOTHER」・・・ご褒美はもう少し】 ------
前作、前々作は心地良い旅の気分を味わうことができる、
所謂ロードムービー型のRPGになっていたが、
本作は一つの場所(タツマイリ村、もしくはノーウェア島)に
スポットライトを当て、その場所で物語を展開していく形式である。
微笑ましい主人公家族に名前を付けていく時間から
開始冒頭、親子で祖父の家に訪れる導入部までには、
小躍りしそうなワクワク感が秘められていたのだが、
そこから暗雲が立ち込めていく形で物語が始まっていく。
結果、痛烈な悲劇となってしまう事件を第1章とし、
そこから章立て構成にゲームが進行する流れだ。
過去のシリーズ作と比較してもまるっきり違っている。
・・・この島に一体、何が起ころうとしているのか?
その一点を軸にして、プレイヤーを引き込んでいく。
ただ、序盤は章を跨ぐことで別のキャラクターを
操作することになってしまい、これが余計な焦らしに感じられた。
もう少し急いで本筋に向かって欲しかったと思う。
(ただ、本筋自体も強引な流れが見られたが・・・)
ゲームのテキストはやはり糸井節が冴え渡っていて、
細かくキャラクター毎に描き分けられてるのもあるが
登場するキャラ皆全てに個性が齎されていたように思う。
また今回、プレゼントの中身には悪ふざけ的要素が数多くあり、
それが癪に障ってウザイと感じる人もいただろうが
個人的には、そういうのも楽しいんじゃないかと思えた。
相変わらず「MOTHER」特有の遊び心は健在だった訳である。
最も残念に感じた点は、配置された一つ一つの壁、
課題を攻略していく中で強いカタルシスが得られなかったこと。
テーマ性が主導のゲームだったかもしれないけど、
もっとご褒美というかゲーム的に与えられるものは欲しい。
もう一つ、マジプシー達が登場して7本の針を抜いていく展開も
もっと盛り上げられただろうし、全ての真相を
たった一人が語ってしまうのも雑だったかもしれない。
------ 【システム面に大きな変更はなし】 ------
基本的な部分は、ほとんど前作を踏襲している。
新しい要素となっているのは主に2つのシステムだ。
戦闘時のリズムに合わせてAボタンを押下することで、
与えるダメージを上乗せしていく「サウンドバトル」。
そして、Bボタンで溜めをつくり、放すことで継続的な
スピードアップが可能になる「ダッシュ」。実に気持ち良い感触。
どちらの新システムも良好なシステムに感じられたが、
難しさと煩わしさが気になるプレイヤーもいるだろうか。
筆者は「サウンドバトル」はあってないようなものと考えてたので、
狙う際のリスクとリターンはプレイ中、特に気にならず。
何より、古き良きRPGを継承したスタイルなので
全体を把握しやすいし、シンプルでわかりやすい。
個人的にはシステム面での不満点は特になかった。
また、PSIの習得には、移動中に突然知恵熱がでて、
少し時間を経過すると習得するスタイルになっている。
------ 【ひたすら気合を感じる音楽】 ------
用意された音楽がまた尋常じゃないエネルギーを帯びている。
前作までは、鈴木慶一氏、田中宏和氏のタッグによって
代えが効かない程の絶対的音楽が存在していた。
そんな両名から今回、新たにバトンを受け継いだ酒井省吾氏は、
その先人に決して劣らない楽曲群を生み出しており、
そこには、しっかりと「MOTHER」のテイストが盛り込まれていた。
効果音も含め、「SOUND PLAYER」で聴ける曲は250曲。
他のゲームと比べても、膨大な楽曲の数である。
これだけで、どれだけ気合が込められているかわかる。
音楽が本当に重要視されていたのだろうか、
その「SOUND PLAYER」は最初から視聴可能であり、
更にはお気に入りの曲を選択してストックしておく事で、
好きな時に自由に聴くことができる仕様になっている。
後、少しネタバレになるが、一部過去シリーズの
楽曲もアレンジVer.としてゲームに存在している。
その瞬間は、シリーズファンには感涙ものだろう。
過去シリーズの音楽好きとしては、ゲーム中で聴いた
「だれかさんのおもいで」に晴々とさせられてしまった。
------ 【「MOTHER3」の世界とは】 ------
ボリューム的に言うと、腹八分目かもしれない。
普通にプレイしていれば、25時間前後でクリア可能だろう。
だが、ゆっくり味わえば適度な満腹感を感じられる量でもある。
(RPGって腹八分目くらいが、結局は丁度良いのかもしれない)
ゲームバランスも一見厳しめかと思いきや、
なんだかんだボスにギリギリで勝ちきれる感じで、
ドラムロール式のHPメーターとの兼ね合いを考えると
かなり上手い具合の調整なんじゃないかと思えた。
(・・・当然、サウンドバトルも考慮した調整だったんだろうけど)
最後に。
どうやら、「MOTHER」シリーズに何かしら特別な思い入れが
あるプレイヤー程、本作に失望を感じてしまうようだ。
確かに、その気持ちはわからなくもない。
筆者も少年時代に遊んだ「MOTHER2」が大好きだし、
神格化されているゲームだから充分理解できる。
しかし、本作がエンターテインメント性かテーマ性かの
どちらにベクトルを伸ばしたかと言うと、当然、後者だろう。
(かと言って、それらが完全に正反対に位置するものではないが)
テーマである”愛”が主軸となっている中で、
登場人物それぞれが悲しみや宿命を背負って生きている。
彼らの些細な台詞、言動に込められたメッセージは
「MOTHER」シリーズの中でも最も強く宿っていたように思う。
もちろん、主人公リュカの人間的成長も重要なものであった。
文字通り、プレイヤーにエンディングを投げかけたラストは、
それぞれの答えがあっていいという意味だろうし、
少しばかり辛いかもしれないが、何度でも繰り返し
プレイすることで更なる深み、解釈を得られるゲームだろう。
やはり、このシリーズ・・・格が違う。






