宮本茂の新作!?

2009年11月26日 00:11
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Nintendods

あわたま

アクション / アドベンチャー

インターチャネル

2009年07月16日発売

5,040円[税込]

レビュアー評価

■開発:Mekensleep
  プロデューサー:Massimo Guarini
  ディレクター:Olivier Lejade
  ゲームデザイン:Omar Cornut、Frédérick Raynal
[ セーブデータ数:2 ]

【あわたま】「宮本茂の新作!?」シェループ - GAME POTATO[ゲームポテト]
◇見習いシャーマンの大冒険
シャーマンの役目、それは迷えるタマシイを探し、
現実の世界へと導くこと。

だが、タマシイはとてもデリケートで、
外の空気に長い時間、触れていられない。

迷えるタマシイをシャボン玉に入れ、
外敵や障害物から守りながら、現実世界へ導こう。

見習いシャーマン、ミークの冒険のはじまり、はじまり。



フランスのデベロッパー『Mekensleep』が開発、
欧州で2008年6月にリリースされ、高評価を得たアクションアドベンチャーゲーム、
『Soul Bubbles(ソウルバブルズ)』の国内移植版。
販売は過去に『イルミスライト(PRISM : Light the Way)』、
『GLORY DAYS 遊撃のHERO(GLORY DAYS 2)』など、
通好みの海外タイトルを移植してきたインターチャネル。
中身は欧州版と同じだが、主人公のデザインなど、
細かい部分が日本向けにアレンジし直されている。


◇単純明快だけど一筋縄ではいかない、シャボン玉運びゲーム
ゲーム内容は、ステージクリア型の誘導アクションゲーム。
5つの魂を閉じ込めたシャボン玉に息を吹きかけ、ゴールまで運んでいく。
操作はタッチペンと十字キーのみ。
左利きの場合は、十字キーの変わりにABXYボタンを使用する。
「息を吹きかける」という事から、実際にDS本体のマイクに向け、
息を吹きかけながらプレイするのかと連想するかもしれないが、
そんな操作は断じて求められない。
(※ただ、オープニングで一部、マイクを使う場面がある)
というか、仮にそんな操作がメインのゲームだったら、
酸欠患者を大量に生み出しかねん。
そこはちゃんと分かった作りとされている。

ペンによる息の吹きかけも簡単。
吹きかけたい方向に沿って、シャボン玉をスライドするだけ。
これだけで望んだ方向にシャボン玉を動かせる。
また、プレイヤーキャラのミークは画面のあらゆる場所をタッチすると、
瞬時にそのタッチした場所へと移動する。
なので、仮にシャボン玉が望まぬ方向に進んでしまった場合、
その方向へ瞬時に先回りし、シャボン玉の軌道修正ができる。
更にシャボン玉も耐久度も高く、壁とかにぶつかっても全く割れない。
さすがにトゲなどに触れると割れてしまうけど、
普通のシャボン玉より固いので、余計な神経を配る必要も無く、
スムーズ且つスピーディなシャボン玉運びが楽しめる。

この手のプレイヤーの意思通りに動かぬ物を運ぶゲームは、
その動きのワガママさに苛立ちを覚えたりするものだが、
今作は対象物たる泡の固さ、軌道修正のし易さもあり、
意外に苛立ちは覚え難い。
そんなのと隣り合わせなゲームにしては結構珍しい、
快適で、安心感の高いプレイ環境を確立させている。

また、何気にミークのアクションも多彩。
息を吹く以外に、三種類の『仮面』を装着すると、
泡を縮める、切る(繋げる)、更には作ると言った、
特殊なアクションまでできるようになる。
仮面の切り替え操作もそれぞれ、
対応した方向に十字キーを押すだけと、非常に快適。
(※左利きの場合はボタンとなる)
あまりに自然に切り替えられるので、気持ち良さすらを覚えるほどだ。
そして、このアクションを活かしたステージ内の仕掛けも、実に多彩。
進行の邪魔をするツタを切ったり、スイッチを解除したりと、
単なるシャボン玉運びだけで終わらせぬ、バラエティー豊かなネタの数々が、
プレイヤーを待ち受ける。
シャボン玉を運ぶだけの単純な内容を思わせぬ、それらの凝った展開には、
コアなゲームユーザーでも驚きと衝撃を受けてしまうだろう。


◇任天堂らしさ(宮本茂らしさ)全開の作り込み
とにかくこのゲーム、全体の作り込みが桁違い。
ルールは単純、それほど新しいとも言い難いのだが、
操作性からステージ構成と、個々の部分の練りが凄まじく、
驚異的な完成度を誇っている。

特に操作性は、素晴らしいの一言で済まぬ凄さだ。
シャボン玉をほぼ思い通りに動かせるストレスの無さ、
レスポンスの良さは、単に触るだけでも楽しい。
三種類の仮面アクションも触り心地は最高で、
中でも『切る』のアクションで、ツタを「シュパッ」と除去する快感は、
爽快な効果音と相まって、癖になるほどの気持ち良さがある。
更にステージ内のどうでも良い所まで、触ると反応があるなど、
細かいこだわりが炸裂しているのも面白い。
任天堂の宮本茂氏が作ったんじゃないのか?
そう錯覚するほど、手触り感がずば抜けているのである。
念の為、今作には任天堂は一切関与していない。
宮本茂氏だって勿論、関わってない。
だけども、操作感にはそんな宮本茂氏独特の「手触り感」が、
見事に活きている。
もはや、再現の域では済まされないほどに。
コピーにしてもこれは精巧過ぎるだろと、
突っ込みたくなるほどの良さがあるのだ。
赤の他人も同然なデベロッパーが作ったとは言え、
この再現度の高さは、もはや奇跡に近い。
どんだけ任天堂が好きなのか?

また、ステージ構成も凄い。
全8ワールド40ステージ、その全てに類似ステージが一つも無い。
全部のステージがきちんとした個性を持った、
独立したものに完成されているのである。
レベルデザインも完璧だ。
進める度に新たなネタ(仕掛け)が登場するので、
全然、プレイしていてダレることが無い。
ステージごとのネタ(仕掛け)の懲り様も尋常で無い。
四方八方からシャボン玉を割る矢が飛び交う迷路、
大量の敵を相手にする某無双なエリアなど、
無駄にプレイヤーを楽しませてくれる。
中には、泡を弾代わりにソニックばりのスピードで進んで行く、
もはやシャボン玉運びじゃないステージもあるほど。
常に新鮮なネタが飛び出してくるその深さには、
テンション上がりっぱなし。
その引き出しの多さ、新鮮さを保つ事に特化した作り込みには、
任天堂の仕業と本気で錯覚させられる。
操作性のところと繰り返しになってしまうが、
任天堂制作じゃないのに、こんなクオリティに仕上げた事自体が、
もはや奇跡も同然だ。
ホント、どんだけこのスタッフは任天堂が好きなのか?

これらに留まらず、全体の難易度、充実したサポート機能とかも、
任天堂らしい絶妙さ、痒いところにまで届いた快適さを見せており、
突出した完成度を誇っている。
グラフィック、音楽のクオリティも高く。
特にぶよぶよ動くシャボン玉の動きは、見ているだけで楽しくすらある。

何処を取っても任天堂らしさ炸裂。
宮本茂氏が作ったゲームらしい匂いまでする。
だけども、今作を開発したのは任天堂との縁の無い、
新興のデベロッパー。

もはや、こう言うしか無い。
このスタッフ、何者なんだ?!


◇地味さは拭えず
ただ、一方でゲーム自体は地味。
終始、シャボン玉を運ぶに徹する内容なので、派手さには欠ける。
シャボン玉運びを邪魔をする敵はいるけど、ボスはいないなど、
その手の展開も皆無だ。

でも、コンセプト的にはこれで良し。
シャボン玉を運ぶ事に特化したゲームなのだから、
これぐらい割り切った作りにして正解だ。

それに、ボス戦は無くとも、
ステージの仕掛けが代わりに魅せてくれるので、
不思議とその辺に不満を覚える事も無いだろう。
この辺は好みによるけど。

また、細かいところだが少し不備もある。
特に息を吹きかけるアクションで、吹き続けると、
ミークが息切れを起こすのだが、
この息切れが発生するのを判定する要素が、
ミークの顔色というのは分かり難い。
せめて、残量ゲージぐらい用意して欲しい。
その他、『キラキラ星』なる、マリオで言うコインのアイテムがあるのだが、
この集めた数の確認がポーズメニューでしかできないのも意地悪。
これもせめて、上画面に表示するようにして欲しかったところだ。

でも、いずれの欠点も、慣れれば気にならなくなる程度なのが、
せめてもの幸いだ。
欠点があっても、どれも気にするほどじゃない、
それだけでも今作の作り込みが如何に深いか、実感させられる。


◇絶対に埋もれたままにしてはいけない大傑作
とにかく、ずば抜けた完成度と面白さを誇る今作。

だが、これほど完成度の高いゲームでありながら、
発売された時期が『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』と重なり、
結果、埋もれてしまったのは嘆かわしい限りだ。
まあ元々、オリジナルタイトルであるので、
ドラクエIXと重ならずとも、埋もれてただろうけど。

それでも、これはニンテンドーDSを持ってるユーザーなら、
絶対にプレイしなければならないほどの大傑作である。
任天堂イズム全開のクオリティの高さ、
人を選ばぬ間口の広さは、埋もれたままにしておいたら、
バチが当たると言っても良い。

欧州で、歴代2位の高評価を受けたという売り文句は、
決して大言壮語などではない。
その理由はプレイすれば分かる。

地味だけど、面白さは本物だ。
これは文句無しにオススメ。
やるべし!
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レビュアー : シェループ

好きなジャンル : アクション、SRPG

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