万人向けではない傑作

2009年10月04日 22:17
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Playstation3

バイオニックコマンドー / Bionic Commando

アクション

カプコン

2009年06月25日発売

7,340円[税込]

レビュアー評価

■開発:GRIN
  エグゼクティブプロデューサー:稲船敬二(CAPCOM)、Per Juhlén
  プロデューサー:Ben Judd(CAPCOM)、Dan Eriksson、Dan Thronström
  ディレクター:Ulf Andersson
  シナリオ:Douglas Furén
  音楽:Trond-Viggo Melssen
  アートディレクター:Anders De Geer
  コンセプトアート:Martin Bergquist
  キャラクターデザイン:Björn Albihn
■イメージソング
  水木一郎♪「バイオニックコマンドー」

【バイオニックコマンドー / Bionic Commando】「万人向けではない傑作」シェループ - GAME POTATO[ゲームポテト]
◆ 私がまだ若かった頃に出会った、一人の男のその後を語ろう。
10年前、帝国軍を打ち破ったかつての英雄、ネイサンR.A.Dスペンサーは、
後に我が身を捧げると誓った政府に裏切られ、無実の罪で投獄。
死刑を宣告されていた。

そしてスペンサーの処刑が行われる当日、状況は一変。
テロ組織『バイオレイン』がアセンション・シティで大量破壊兵器を爆発させる。
街は瓦礫の山となり、住民は全滅。
街の防空システムもバイオレインの手に落ちる。

アメリカ連邦国(FSA)はテロ組織の目的を探る為、
廃墟と化した街に内部から攻撃を仕掛ける事を決定する。
それは機械の力で身体を強化された、
バイオニックコマンドーにしかできない任務だった。

かくしてスペンサーの処刑は中断。
過去、失踪した妻エミリーの情報交換と引き換えに、彼は一度裏切られた政府の命を受け、
崩壊したアセンション・シティへと飛ぶ。

この物語はここから始まる。



癖は強いが、慣れると病み付きになるワイヤーアクション、
現代にヒットラーが復活する衝撃的なストーリーで、カルト的な人気を博した、
ファミコンの伝説的なアクションゲーム、『ヒットラーの復活』の続編。
開発はPC版『ゴーストリコン アドバンス ウォーファイター』シリーズ等を
手掛けた、スウェーデンの製作スタジオGRINが担当。

◆ 概要
内容は、旧作『ヒットラーの復活』とは別物。
オーソドックスな3Dアクションゲームで、主人公スペンサーを操作し、
道中で課せられるミッションを順に攻略しながら、マップを進めていく。
ただ、基本的に流れは一本道で、自由度は低め。
また、マップ上には『放射能地帯』なる青い煙がかかった場所があり、
そこに入ってしまうと、例え無傷であろうと、一瞬の内に死亡となる、
いわゆる『コースアウト』的な行動制限までかけられてる。
ただ反面、明確に進むべき道が定まってるのもあって、
ゲーム進行において、迷ったり行き詰ったりする事はほとんど無い。

特徴的なものとしては、やはりワイヤーアクション(スウィングアクション)。
ワイヤーを様々なオブジェクト(物)にフックし、ターザンのように
飛び回っていくアクションが、今作の肝となっている。
『ヒットラーの復活』とは異なり、今作ではジャンプも追加されているが、
あくまでも、小さな段差を飛び越える時や敵との戦闘時に使う程度。
移動は基本、ワイヤーアクションがメインとなる。
また今回のワイヤーはスウィングだけでなく、物を投げたり、引っ張ったり、
敵への攻撃に使ったりなど、用途も旧作以上に増えている。

更に主人公、スペンサーのアクションも増強。
至近距離のパンチ、高所からの落下攻撃、車などの障害物を殴り飛ばすなど、
旧作を彷彿とさせない、パワフルなアクションの数々が楽しめる。
お馴染みの銃器による攻撃も健在。TPSスタイルとなっている。
しかし、銃器の弾量は気持ち、少なめに設定されていて、メインは
ワイヤーによる攻撃という、狙った調整が図られている。
その為、TPS要素はおまけ同然。作りもワザと浅めにされている。
TPSとして期待するとかなりの肩透かしに合うので、注意が必要だ

◆ 究極進化を遂げたワイヤーアクション(スウィングアクション)
やっぱりというか、肝であるワイヤーアクション(スウィングアクション)が
抜群に面白い。そして最高に気持ち良い。
2Dの時とは違い、物理原理もスウィング動作時に影響してくる為、
方向調整で手を焼いたり、その癖もかなり強くなっているのだけど、
その分、思い通りに動かせるようになった時の快感が凄い。
この上手くなったら急激に面白くなっていくのを含め、ちゃんと旧作、
『ヒットラーの復活』の再現となっているのだから圧倒される。

特に3Dになった事で、上手くなった見返りが大きくなったのが秀逸。
スムーズにアクションをこなせるようになるだけでなく、
風と一体になるかのような爽快感まで得られるようになったので、
得られる気持ち良さが倍増している。
アクションの迫力も3Dになった事で倍増し、上手くなればなるほど、
ハリウッド映画のような大胆なプレイができるようになってくるから、
2Dでは味わえなかった高い充実感が得られる。
また、今作からジャンプもできるように。
これとワイヤーとの組み合わせ次第で、より大胆なプレイが可能になったのも、
プレイの幅を広げており、アクションの奥深さを高めている。

スウィングのし易さを意識した丁寧な配慮も見事。
ワイヤーがフックできる場所は専用照準で分かり易く表示し、
スウィングのリリース(ワイヤーを離す)タイミングにしても、
インジケーターの表示に従って、ワイヤーをリリースすれば、
綺麗に飛ぶ事ができるなど、全体的に行き届いている。
操作性も申し分なく、直感的にアクションが楽しめるよう、
レスポンスも含め、丁寧に仕上げられていて好感触だ。
アクションには手馴れたカプコンらしい、こだわりが炸裂している。

また、ワイヤーを移動手段だけでなく、武器としても使うよう促す、
戦闘のバランスも面白い。
中でもワイヤーを敵に引っ掛け、飛び蹴りする『ジップキック』は、
中毒になってしまうほどの爽快感がある。
威力も銃火器より高く、使い勝手も良いし、気持ちよさが格別。
障害物を引っ張る、岩を投げるなど、他にもワイヤーでできる事は多彩で、
単なる移動手段用の武器に留めてないのがお見事。
その辺も含め、間違いなく今作が『ヒットラーの復活』の続編を
名乗る資格は、十分にある。
これぞまさしく、究極進化形と言ったところだ。

◆ やり込むほど味が増す、麻薬的な中毒性と絶妙なゲームバランス
気持ち良さだけでなく、中毒性も半端無い。
上達すればするほど、その快感が止みつきになって、何度も何度も
スウィングしたくなる衝動が抑えられなくなってくる。
特に今回は先の通り、上手くなった後に得られる見返りが大きい為、
毒性の強さが桁違い。

またあの快感が味わいたいから、今度こそ華麗に飛び回りたいから、
とか色々思って、再度、ゲームを最初から始めたくなってしまう。
まさに、麻薬的だ。

アクションの気持ち良さだけじゃない。
ステージの作りとかも、3Dで一本道という作りもあってか、
ニクたらしいほど、全体のネタを一回だけで明かそうとしないので、
再プレイさせる欲を刺激させる。それで、いざプレイしてみたら、
意外なルートや攻略法がある事に気付かされたり。
で、また改めてプレイしてみたら、更にビックリなショートカットが
見つかったり。
遊べば遊ぶほど新たな発見がある、そのあまりにニクい作りには、
ただひたすらに感心させられる。

ゲームバランスも病み付きになってしまうほどに絶妙。
一番簡単なノーマルでも難しいけど、決して理不尽ではなく、
上達すれば必ず攻略できる、カプコンらしさ溢れる調整となっている。
ステージ内のトラップの仕掛けなども、所々唐突なところはあれど、
全体的に理に適った配置。
また敵との戦闘にて、倒し方が一つだけではないなど、
パターン化を防ぐ調整が徹底されているのも見事。
ロボット系の敵がミサイルでないと倒せないかと思いきや、
周囲のブロックを投げつけるか、或いはジップキックで倒せたりとか。
その戦術の多彩さにもまた、カプコンらしいこだわりが光っている。
そして、倒し方が色々ある故に、次は別の方法で戦ってみたり。
そんな幅の広さも、全体的な中毒性を絶妙に煽り立てている。

◆ 荒削りな所は多い…
メインとなるアクションの部分の出来については、完璧に近い。
ただ、それに反して結構、欠点となるところも多い。

特に目立つ欠点はロード時間、放射能地帯、そしてやはりというか、
ワイヤーアクションの癖の強さ。
ワイヤーアクションは上手く動かせるようになるまで、
ある程度の時間と経験が必要とされてくるので、そこで上手く使い
こなせるようになれるかが、分かれ道となってくる。
一応、チュートリアルもあり、そこで練習する事もできるが、
完璧に使いこなせるまでの腕は身につかない。
そこで、このアクションを気に入るか、気に入らないかで、
今作の評価は大きく変わってくると思う。
とにかく、癖が強く、好みが分かれ易い。
中でも、アクションゲームがそんなに得意でないという方には、
あまり馴染めないかもしれない。


ロード時間、放射能地帯はシステム的な問題点。
前者は、そんな致命的なほど長い訳では無いのだが(大体10~11秒ぐらい)、
リトライの時にまでロードがあるのはちょっと問題あり。
「死んで覚える」なバランス調整を取ってるゲームなので、これは無くすか、
短縮するかの処置を取って欲しかった。
このせいで、若干ながらゲームテンポが悪くなってる感が否めない。

後者、放射能地帯は境界線が曖昧。
青い煙がある場所が放射能地帯という括りなのだが、
それすらない、少し離れた所に突入してもダメージ判定になったりと、
どうにも統一感がない。
単純に青いところに入ったらダメと、明確にすべきだったのではないか。
また、死に至るまでの時間が早過ぎるのも、もう少し短くするなど、
そう言った処置を取って欲しかったところだ。
これは水に落ちた時、火に近づいた時に関しても言える。

その他では、収集アイテムの仕様。
1周で全部集めないといけないのは、さすがに酷過ぎる。
せめて、引き継ぎの2周目とか用意すべきだった。

あとはストーリーだろうか。
個々のキャラクターの描写、設定等の語りが薄い上、回収されない伏線など、
全体的にイマイチ。
エンディングも正直、かなり賛否が分かれる内容だ。
普通に『ヒットラーの復活』みたいな王道モノであれば良かったのだが…。
ここに関しては正直、期待しない方が良い。

◆ この熱い魂をその手に感じろ!
あえて言っておくが、今作は万人向けのゲームではない。
どちらかと言うと、アクション好き向けの一本だ。

そして更に付け加えると、断じて駄作でもない
むしろ、他のジャンルを含め、今年発売された数あるゲームの中では、
最高クラスのゲーム性を持つ、力作と言っても良いほどの内容となっている。
販売不振の件とか、その辺の事情もあってか、巷では何かとネガティブに
捉われているが、それを鵜呑みにしてはいけない。

気持ち良さと圧倒的な臨場感に秀でたワイヤーアクション(スウィングアクション)、
何度も遊びたくなる麻薬的な中毒性、
そして、久々のカプコンの本気に満ちた絶妙なゲームバランス。
ロード時間、ストーリーなどの欠点もあるが、それをふっ飛ばす位の面白さが、
今作には満ち溢れている。

どうか、巷の声に煽られて駄作と誤解しないで頂きたい。
このゲームは、駄作ではない。
万人向けではない傑作だ
最低でも、良作の評価は与えられるほどの見事なゲームである。

アクションゲームが不得意な方にはお薦めできないが、得意な方であれば是非、
チャレンジして欲しい。
そして、ワイヤーアクションの凄味に酔いしれてみて欲しい。

最近ではご無沙汰の「本気のゲーム」が味わえるはずだ。


プロデューサー、ベン・ジャッド氏の今作に対する愛と意気込みは本物である。
その熱い魂をその手に感じ取るべし。



或いは、この熱い歌から今作の凄味を感じ取るべし!
世界観的に場違いだけど、そこは気にしないッ!
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レビュアー : シェループ

好きなジャンル : アクション、SRPG

マイナー系ゲームに愛を注ぐ人間です。宜しくお願いします。

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